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Wes Montgomery: Full House + 3 (Riverside) | jazz.info

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Wes Montgomery: Full House + 3 (Riverside)

October 31st, 2007 · No Comments

Full House

クリード・テイラー路線のウェス・モンゴメリーには批判も多いですが、私は嫌いではありません。しかし、しょせん「嫌いではない」といった程度の好みであって、『夢のカリフォルニア』を聴くときのテンションというのはあまり高くない。というか、聴くというより流してる感じです。それでは本当に気合を入れて聴くべきウェスといえば何かと言うと、答えは簡単で、彼には前人未到の3大名盤があるわけです。それは『インクレディブル・ジャズ・ギター』、『ハーフ・ノートのウェスとケリー』、『フル・ハウス』。今回はその中からホーンも入っている『フル・ハウス』を取り上げてみようと思います。

このアルバムは1962年6月25日、カリフォルニア州バークレイのコーヒー・ハウス「ツボ」でのライブ録音です。メンバーはジョニー・グリフィン(ts)、ウェス(g)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)。

1曲目でタイトル・チューンの "Full House" はウェスのオリジナル。タイトルの由来はポーカーの「フル・ハウス」、つまりウェスとグリフィンがペアでリズムがスリー・カードにひっかけられたという説と、店が満員という説の2つがあります。事実、地元新聞の報道と口コミがきっかけで、通りの曲がり角まで行列ができていたという話が残っているほどです。シンプルな構造をもったリフ曲でセッションの口開けにもよく演奏される曲。イントロからテーマまでギターとテナーのユニゾンで演奏されています。ソロの先発はウェス。ホーン・ライクなアドリブから徐々にギター的なソロへと盛り上げていき、短いリフを畳みかけながら、オクターブ奏法を繰り出します。続くソロは「リトル・ジャイアント」ジョニー・グリフィン。情熱的で力強いソロを取っています。ケリーのピアノはしみじみしていますが、彼にしてはずいぶん地味なソロ。

2曲目の "I've Grown Accustomed to Her Face" は『マイ・フェア・レディー』の挿入歌。この歌詞の和訳については以前の記事でも書きましたが「ブスは三日で慣れる」という意味ではありません 😛 グリフィンとケリーが休んでウェス+ベース&ドラムスという構成で味わい深いバラード演奏に取り組んでいます。

3曲目はディジー・ガレスピーのリフ曲 "Blue 'n' Boogie"。ソロはウェスから。シングル・トーン→リフのたたみかけ→オクターブ奏法と盛り上げていくウェスいつもの構成です。次はケリー。このアドリブは盛り上がっています。グリフィンもまたおなじみの上のほうで「キュー」となる音を駆使しながら熱のこもったソロ、周りの掛け声まで入っています。ここでさらに素晴らしいのが、ドラムのジミー・コブ。ほとんど連打状態でグリフィンのソロをさらに鼓舞しています。そのままテナー対ドラム、ギター対ドラムの4バースに入り、続いてピアノ対ドラムで再び4バース交換をしていますが、これはおそらくケリーが即興的に割り込んでその場でやったのでしょう。ドラムソロをちょっとやってテーマに戻ります。

4曲目の "Cariba" はウェスのオリジナル。カリブということでしょう、ラテン・ビートです。珍しくベースが先発ソロに挑み、続いてピアノとなります。ケリーはカリブ海からの移民で、こういう曲には抜群の相性を示し転がるようなタッチと楽しげな曲想で素晴らしいソロ。続くグリフィンは速吹きでシーツ・オブ・サウンドみたいなことをしたりファナティックに畳み掛けたりやりたい放題。続いてでてくるウェスはコード・プレイまで繰り広げています。凄い!

5曲目。スタンダードの "Come Rain or Come Shine"は「降っても晴れても」の邦題がつけられた名曲です。比較的アップテンポで演奏されていますが、ここでのグリフィンは、本当に「らしい」演奏です。グリフィンの特色を掴みたかったらこのアドリブを聴けば一発です。これを超えると、やり過ぎですってんコロリンになるんですがね 8) ウェスのソロはこの曲をギターで弾くときのお手本みたいなもんです。シングル・トーン、オクターブ奏法、コード・プレイ、コンパクトに全部揃ってますよ。続くケリーは、本人名義でヴィー・ジェイに吹き込んだ『枯葉』というアルバムで、この曲の決定的解釈を披露していますが、そちらはミディアム・バウンスだったのに対して、こちらはアップテンポ。しかし転がるような音と跳ねるタッチでスイングしています。

LP時代のラスト曲が、ウェス・オリジナルの "S.O.S"。印象的な合奏を挟んだ急速調の曲です。後半、合いの手に聴こえるグリフィンのテナーが「ニャー」と猫みたいに聴こえる。例の「キューッ」って音なんですけれどね。

CDにはあと3テイク入っています。7曲目は "Come Rain"のテイク1。グリフィンに関してはこちらのほうが落ち着きがあっていい。ウェスはやはりテイク2(オリジナル)のほうがいいですかね。探り探りやっている感じですが、あからさまな三段論法になっていない分新鮮な感じもします。ケリーもオリジナル・テイクのほうがいい。S.O.Sはテイク2。こちらではグリフィンの合いの手が下を吹いているので「ニャー」とならずに盛り上がりに欠けます。最後にニャーとふた鳴きしてくれますが。9曲目はまったく別の曲で、 "Born to Be Blue"。スタンダードで、グリフィン抜きでやってます。途中でダブルタイム・フィーリングを挟みながら終始シングルトーンでホーン・ライクに進めていきます。ケリーの抑えたソロを挟んで、今度はオクターブ奏法に移行しますが決してこれ見よがしではない。実に味わいのある名演。LPの収録時間の関係で省かれたのでしょう。

上記3作はどれも名盤です。ハズレはありません。ギター一本でウェスの特色を掴みやすくコンパクトなのが『インクレディブル』、ウィントン・ケリーとの絶妙なインタープレイも聴けてスリリングなのが『ハーフ・ノート』、そしてホーンも入ってエキサイティングなのが『フル・ハウス』という感じでしょう。

Tags: Griffin, Johnny · guitar · Kelly, Wynton · Montgomery, Wes

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