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Lester Young: With Oscar Peterson Trio (Verve) | jazz.info

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Lester Young: With Oscar Peterson Trio (Verve)

October 24th, 2007 · No Comments

Lester with Oscar

日記ブログのほうにも書いたことですが、授業で観たサッチモの伝記映画の中で、ウィントン・マルサリスが印象的なことを述べていました。「晩年のルイはテクニックが無くなったから買わないという人がいるが、そういう連中は何も分かっていない。テクニックと速さを混同しているんだ。最高のテクニックはニュアンスである。それは人生と共に洗練されていったものだから、誰にも出せない」という彼の発言は、本人が一番学ばなければいけないような気がしないでもないですが、正しいと思います。そしてその直後に流れる歳をとったサッチモの「明るい表通りで」の演奏がナミダモノ。「ウェストエンド・ブルース」のように精緻なフレージングではなく著しく簡素化されたフレーズであるにもかかわらず、一音一音が持つ表情が豊かで深い。マイルスの場合も晩年、たとえば『ワールドツアー』のようなアルバムで聞こえてくる音は、実に深い陰翳があります。谷崎ではないですが陰翳がなければ面白くないわけです。そういえば、一時期調子に乗って「モーツアルトは陰翳がなく一本調子だからつまらない」などと放言したら、クラシックに詳しい人に呼ばれて、いろいろな演奏を聴かされて、自分が間違っていることに気づきました。演奏する人によって深い陰翳やニュアンスが生まれてくるということを知ったからです。

レスター・ヤングも全盛時代は凄かったが、軍隊生活以降はめっきりやる気を失ってダメになったというのが通説として言われていますが、これは疑問です。確かにあまりに無名で能力も怪しい連中と組まされた時や、本人の資質とまったく合わないJATP・ジャム・セッションなどではすっかりやる気を失っているような演奏もありますが、メンバーによっては実に深いニュアンスを持った演奏を行っています。全盛時代ほどの目くるめくフレーズ展開はないものの、一音にこもった音楽的な力はいささかも衰えていないのです。ここで紹介する『レスター・ヤング・ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ』もそんなアルバムの一枚です。タイトルに「トリオ」と銘打っているくせに、レスター(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、バーニー・ケッセル(g)、レイ・ブラウン(b)、J.C.ハード(ds)というクインテット、リズムが4人もいたりなんかして、ヴァーヴらしいといえばヴァーヴらしいタイトルです。演奏は1952年11月28日。曲目は下のリンク先のAmazonに全部載っていますし、便利なことに試聴までできますからそちらに譲ります。

特筆すべきは2. "I Can't Get Started"、そして、6から12にかけてのバラード銀座というか、名バラードの目白押しの部分です。とりわけ8. "On the Sunnyside of the Street" にはサッチモのバージョンと同じレベルの感情の深みがあり、「明るいのに暗い」「楽しいのに寂しい」というあい矛盾した情緒が同時に押し寄せるような域に達しています。まあ、この頃のレスターには、どの演奏にもそうした特色があるのですけれどね。わりとフェイクを強く施したAメロの演奏に続いて、サビはアドリブしています。そして再びでてくるAメロ部分でのたたみ掛けるようなフレーズの寂しさ。何かを思い出すようなフレーズです。2コーラス目のサビはこれまた深いニュアンスが込められ、その後のAメロでは一部音が出なくなっていますが、それが少しもこの演奏の価値を下げていない。非常に優れた演奏です。

私はテクにばかり耳が行ってしまったり、ジャズの原点を忘れそうになったりしたときに、耳をリセットするような意味でこのアルバムを聴きます。こっそり思っていることですが、有名な『プレズ・アンド・テディー』よりも一段深い演奏のような気がしています。

下のアルバムは輸入盤でジャケ違いです。いずれ国内盤が再発されるので、そちらを求めたほうがいいと思いますが、試聴ができるのでリンクを貼っておきます。(2009年8月現在、リンクのジャケがオリジナルになっているようです)

Tags: Brown, Ray · Kessel, Barney · Peterson, Oscar · tenor sax · Young, Lester

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