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The Blues (World Pacific)

August 6th, 2007 · No Comments

the blues

いただいたコメントの中で「ジャケ買い」という言葉が出てきましたが、私もよくジャケ買いをします。ジャケ買いというのは、内容よりもジャケットを優先させてCD・レコードを買うことでジャズ聴き初めし頃には思いもしなかった贅沢な買い方です。

今日取り上げる The Blues はPacific Jazzに吹き込まれた演奏の中からブルースを8曲選び出して編集した、World Pacificのオムニバス盤(コンピレーション)ですが、そのジャケットの美麗ぶり!ご存知の人も多いと思いますが、これは写真家ウィリアム・クラクストンが撮影したチェット・ベイカーの写真を切り抜いたものです。元の写真はjazZlinksでも紹介しているWilliam Claxton Photographyにありますのでご覧になってください。Chet Baker Gallaryにあります。私の持っているアルバムは東芝EMIがPacific Jazzのアナログ復刻をしたときに発売されたLPで、吉祥寺駅ビルロンロンの2Fにあった新星堂DISK INN(いまは1Fに移っています)に売れ残っていたのを買い求めました。すでに持っている音源と重複するものもあったのですが、定価で新品、それにジャケ買いということで求めたわけです。

A面1曲目はバド・シャンクの通称『昼と夜のバドシャンク』から "Royal Garden Blues"。ずいぶん古いディキシーナンバーでサッチモも1928年に吹き込んでいますが、ここではモダン・ジャズとして蘇っています。メンバーと楽器の関係が面白く、バド・シャンクがバリトン・サックス(普段はアルトかフルートの人)、ビル・パーキンスがアルト(普段はテナー)で、リズム陣はハンプトン・ホーズ(p)、レッド・ミッチェル(b)、メル・ルイス(ds)。

2曲目の "2 Degrees east - 3 Degrees West"は、以前に取り上げたアルバム『グランド・エンカウンター』からの1曲。ジョン・ルイスの書いたブルースです。詳しくはそちらの記事で。3曲目 "Walkin' Garson Blues" はブルースにもとづくインプロビゼーションで、ライナーの岩浪洋三氏によると『オリジナル・チコ・ハミルトン・クインテット』のお蔵テープからということです。ただ彼の記述には間違いが多いので疑問です。タイトルにもなっているカーソン・スミスのウォーキング・ベースをともなってバディー・コレットがアルトサックスでサブトーン豊かにソロを取ります。ギターのジム・ホールが非常にソウルにあふれた名ソロを取ります。この1曲を聴けるだけでもアルバム全体の価値をペイするほどです。A面最後は "Leroy's Blues"。ルロイ・ビネガー(b)の書いたブルースかと思いきや、ピアノのケニー・ドリューのブルースのようです。メンバーはジャック・シェルドン(tp)、ジョー・メイニー(as)、ケニー・ドリュー(p)、ルロイ・ビネガー(b)、ローレンス・マラブル(ds)。

B面冒頭は "Blues in the Night"。「夜のブルース」というハロルド・アーレンの書いたスタンダードで、形式的には12小節のブルースではないけれど、非常にブルージーな曲。演奏はバド・シャンクを加えたラス・フリーマン・カルテット。シャンク、フリーマン、カーソン・スミス、シェリー・マン。バド・シャンクのアルトがブルースそのもので、ラス・フリーマンも独特のタッチが冴えています。

2曲目はジェリー・マリガン・カルテットの演奏で "Blues Going UP" マリガンの作曲です。メンバーはマリガン(bs)、ジョン・アードレイ(tp)、レッド・ミッチェル(b)、チコ・ハミルトン(ds)。ジェリー・マリガンはこのようにピアノレスで演奏することが多いミュージシャンでした。出典アルバムは California Concerts

3曲目はチコ・ハミルトンのトリオで "Blues in the Rocks"。ベーシストのジョージ・デュヴィヴィエ作曲です。ここではピアノではなくジム・ホールのギターを含めたトリオ。繊細なチコのブラシとジムホールがやはりよい。アルバムは The Chico Hamilton Trio。最後はジャック・モントローズ・セクステットで "Some Good Fun Blues"。ウェストコーストらしくアレンジの利いた演奏です。

パシフィックではコンピレーションをその後も何枚か出しました。そして、さすがに西海岸の洗練されたパシフィック、美麗ジャケが多くて目移りします。このアルバムはCDが出ていないようですがそのうち出るでしょう。収録曲の元アルバムと美麗アルバムを参考に挙げておきます。

Tags: various artists

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