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"Louis Armstrong, Charlie Parker." (Miles Davis summarizing the history of jazz)

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Cannonball Adderley: Somethin' Else (Blue Note)

August 5th, 2007 · No Comments

Something Else

名義上はキャノンボール・アダレイがリーダーですが、実質的にはマイルスがリーダーのこの一枚は、色々な「ジャズ・ベスト○○」だとか「必聴!ジャズ○○選」などには必ず取り上げられている永遠の名盤です。そして、その名声を決定付けているのが冒頭の「枯葉 (Autumn Leaves)」。タバコ屋のJTがジャズに力を入れていた時期があって、タバコの販促もかねて(ジャズマンの昔の写真には喫煙シーンが多いので) "Select Jazz"という番組をFMで放送したり、リスナーからアンケートを取って本を出したりしていました。そのアンケートでトップだったのが、ここで紹介する『サムシン・エルス』の「枯葉」でした。JTでは更に上記番組や本とリンクさせた "Select" という紙巻タバコも売り出して、ジャズ・ファンとしての義理もあって一度吸いましたが不味いタバコで常用することはありませんでした。いまどうなっているのか「リビングショップ安藤」というタバコの事典サイトと呼んでも差し支えないようなタバコ屋のサイトを検索しましたが「廃止銘柄」に分類されていました。

さて、この「枯葉」ですがマイルスお気に入りのピアニスト、アーマッド・ジャマルのアレンジを使って更にテンポを落とすことによって独特の雰囲気になっているわけです。メンバーはマイルス(tp)、キャノンボール(as)、ハンク・ジョーンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・ブレイキー(ds)。ハンクの印象的なイントロからホーンが入り、 "'Round Midnight" を思い出させるようなユニゾンのヴァンプが入って、マイルスの抑えに抑えたテーマが始まります。マイルス得意の「泣きのペット」ですね。これを受けるキャノンボールのソロは「笑いのアルト」とか「空襲サイレン」などとしばしば貶されますが、私としては抑えたマイルスとの対比が面白くてOK、これでキャノンボールまでしんみりしてしまっては面白くない。この後出てくるマイルスのソロはカウント・ベイシーではないけれど、「最小限の音符で最大の効果を出している」名アドリブだと思います。ハンク・ジョーンズのソロもマイルスの狙った効果を疎外しないように抑え目で玉を転がすようなピアノタッチ。アート・ブレイキーも抑えに抑えたドラミングです。そして忘れていけないのはサム・ジョーンズ。彼のベースラインがくっきりと捉えられているからこそ、この演奏が名演となっているわけです。同時に、それを捉えた録音エンジニア、ルディー・ヴァン・ゲルダーも忘れてはいけません。中音域が凝縮されブワーッと飛び出すエネルギッシュな録音であることも、このアルバムの名盤度を高めています。

ここでの解釈があまりに完成されたものであったためか、マイルスはこのフォームでの「枯葉」を封印してしまいました。後の「イン・ベルリン」などではチョッパヤの「枯葉」になっていて、曲名を見て買った私など、最初聞いたときに「フシが違うよ」などと呟きましたよ。まあ嘘ですけれどね 😛

それ以外の曲も、それぞれに聴きどころがあるものの、やはりこのアルバムは「枯葉」一発の評価で十分だと思います。

国内CDはいまの所在庫限りという感じですが、2008年の3月にRVGコレクション(エンジニアのルディー・ヴァン・ゲルダーが「リマスター」を手がけたCD)で再発されるようです。

Tags: Adderley, Cannonball · alto sax · Blakey, Art · Davis, Miles · Jones, Hank

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