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Billie Holiday: A Portrait of Billie Holiday - Disk 2 (Columbia) | jazz.info

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Billie Holiday: A Portrait of Billie Holiday - Disk 2 (Columbia)

August 24th, 2009 · No Comments

Side-A
1. Sun Showers
2. Yours and Mine
3. I'll Get By
4. Mean to Me
5. Foolin' Myself
6. Easy Living
7. I'll Never Be the Same
8. Me, Myself and I
9. A Sailboat in the Moonlight

Side-B
1. Can't Help Loving' Dat Man
2. When You're Smiling
3. I Can't Believe that You're in Love with Me
4. I'll Never Fail You
5. The Man I Love
6. All of Me
7. I'm in a Lowdown Groove
8. Love Me or Leave Me
9. Until the Real Thing Comes Along

Disk 2の曲は以上のとおり。このアルバムのA面を彩るセッションはレスターヤングとビリーのインタープレイ、そしてメンバー全員による集中したソロとメンバー間に漂うグルーヴにより、ジャズ史上最高のセッションと言われます。私も、この面は何度かけたか計り知れません。最初の4曲は'37年5月11日のセッション。メンバーはレディーのほかバック・クレイトン(tp)、バスター・ベイリー(cl)、ジョニー・ホッジス(as)、レスター・ヤング(ts)、テディー・ウィルソン(p)、アラン・リュース(g)、アーティー・バーンスタイン(b)、コジー・コール(ds)。1曲目"Sunshower"ではレスターのイントロの後、クレイトン、ホッジスによるテーマ演奏が続き、バスターのオブリガートを伴ってビリーが抑えた感じで入ってゆき盛り上がった感じで抜けてゆきます。テディーのソロの後は、レスターの1、3拍(表)にアクセント置く意表をついたアドリブを経てコーダになります。2曲目の"Yours and Mine"もホッジス、クレイトンによるテーマーからビリーの歌、そしてテディー、レスターのソロへとつながります。3曲目の "I'll Get by"でホッジスのテーマの後に出てくるビリーは、"I Cried for You"以上にメロディーの動きをセーブして、おそらく数音だけで構成されている実に風変わりでいながら、きわめてモダンな感覚をもつ歌い方でこの曲を元歌以上に魅力あるものに仕上げています。そして、この日最大の成果はやはり "Mean to Me" でしょう。冒頭でテーマを吹くレスターがすごい。2回目のAの部分ですでに倍テンでメロディー崩してしまい、クレイトンのサビの後はまったく新しいメロディーを即座に取り出してきます。ここでも、レスターはあえて1、3拍にアタックをつけるといった意表をついたアドリブを展開します。続いて入るビリーの歌も圧巻で、彼女特有の後乗りで歌った後、最後のA(つまりレスターが表にアクセントを置いた部分)でレスターと同様に表拍にアタックを入れていきます。この一体感が彼らのセッションの最大の魅力です。

Lester Young

Lester Young


次の3曲は'37年6月1日のセッションでメンバーはクレイトン、レスター、ベイリー、テディーのほか、ギターがフレディー・グリーン、ベースがウォルター・ペイジ、ドラムがジョー・ジョーンズという「オール・アメリカン・リズムセクション」で構成されています。 "Foolin' Myself"はレスターが16小節、サビはテディー、後メロはクレイトンが吹き分け、ビリーの歌になります。この歌を聴くと、「彼女は自分がいったい何を歌っているのか熟知している」との評言が的を射ていることが分かります。同じことは次の "Easy Living"にも当てはまり、いったいこのバージョンを超える「イージー・リビング」などありえるのかという気にさせられます。とくにサビの最後 "They just don't understand"の解釈は圧倒的で、今でもこの曲を演奏する人は直接、間接的にこのバージョンの影響を受けています。当時まだ22の娘の演奏なのにね。つづく "I'll Never Be the Same" では、レスターによるオブリガートというより対旋律のように積極的な絡みにサポートされて一体感のあるビリーの歌が光ります。
若き日のレディー・デイ

若き日のレディー・デイ


最後の2曲は'37年6月15日のセッション。メンバーは上のメンバーのバスター・ベイリーに代わってエドモンド・ホール、テディー・ウィルソンに代わってジェームズ・シャーマンがピアノを弾いています。したがってテディー・ウィルソンのセッションではなくて、「ビリー・ホリデイと彼女の楽団」というクレジットになっています。ここに聞かれる "Me, Myself and I" と "A Sailboat in the Moonlight" は彼ら(とりわけビリーとレスター)による不滅の金字塔的作品です。"Me, Myself and I" では、ビリーが間奏をはさんで2コーラス歌うのですが、アプローチを変えることで、楽器演奏者とまったく同じ、あるいはそれ以上のレベルにたって(なぜならば歌詞というしばりがあるので)アドリブを展開していることがよく分かります。さらに "Sailboat"では、オブリガートをつけるレスターとビリーの間に、霊的としか言いようのない交感があって、お互いのフレーズを先取りしあいながらインタープレイの妙を繰り広げます。また、レスターによる表拍を強調したサビのアドリブが終わり、ビリーが歌い始めるや、彼はテナーでの最高音のひとつFを打ち出し、それに弾かれたように、ビリーが同様に表拍にビートを置いたフレーズで一音一音歌詞を叩きつけていくあたりはいつ聞いても背中に電流が走るほどです。ここまでのインタープレイは、モダンジャズになってもビル・エバンスとスコット・ラファロを俟たなければ生まれませんでした。

もしこの時点でビリーが引退してしまっていたとしても、彼女のジャズに対する影響は少しも減じることがなかったでしょう。しかし、彼女にはまだ使命がありました。それは「奇妙な果実」を歌うこと、そして後期のトーチソングを歌いついでいくことでした。これによってレディーは、ジャズに限定されず「歌の世界」そのものに影響を与えていくこととなったわけです。

まるで、締めの文章のようですが、まだB面が残っていました 8)

B面1曲目、"I Cant Help Lovin' Dat Man"は'37年11月1日のセッションからで、この日のセッションにはビリーの十八番となる"My Man"も吹き込まれています。この曲では、メロディーの変化を極力抑えたビリー節がよく出ています。

2曲目と3曲目は年も改まった'38年1月6日のセッション。2曲目 "When You're Smiling"はレスターのアルバムで私が初めて聞いたビリー・ホリデイの吹き込みです。この演奏におけるレスターは神がかっていて、スイング時代としては最高のインプロヴィゼーションを展開しています。後にリー・コニッツがアルバム『トランキリティー』の中で、このアドリブラインをそっくり真似たのは有名な話です。ビリーの歌い方もモダンなフレージングです。4曲目 "I Can't Believe that You're in Love with Me"はテンポをぐっと落として叙情的な歌に仕上げています。

4曲目 "I'll Never Fail You" は'38年11月9日のセッション。続く"The Man I Love"は'39年12月13日と疎らになってきます。これは彼女がアーティー・ショーのバンドシンガーになったり、52丁目のクラブ「カフェ・ソサエティー」の呼び物になったりで、徐々にスターダムを駆け上がっていった結果かと思われます。"The Man I Love"でのビリーの歌とレスターのソロはこの時期屈指のもので、必聴の1曲といえます。

6曲目の"All of Me"は'41年3月21日のセッションで、ビリーとレスターによる、驚くべきインタープレイの妙が聴かれるトラックです。7曲目"I'm in A Lowdown Groove"は'41年5月9日、8曲目"Love Me or Leave Me"は'41年8月7日、そして最後のトラック"Until The Real Thing Comes Along"は'42年2月10日で、このセッションがコロムビアにおける一連のセッションの最後となります。"Love Me or Leave" は"Lullaby of Birdland"の元歌で、トリッキーなコード進行とメロディーを持っている曲ですが、ビリーがまったく自分のものとして料理してしまっていることに改めて驚かされます。

ビリーのコロンビアにおける吹込みの真価はビバップを飛び越えて、ウェスト・コースト・ジャズの時代になり明確な形をとります。リー・コニッツ、アート・ペッパー、ジェリー・マリガン、チェット・ベイカーといったミュージシャンたちが、レスターとのコラボにインスパイアーされてこの時代に吹き込まれた曲をモダンジャズとして蘇らせていくからです。さらにモダンジャズ期の歌手たちにとってこれらの吹き込みはお手本として、時には乗り越えるべき障害として彼らの前に立ちはだかることになるわけです。

そのビリー・ホリデイ本人はこの後、畢生の名曲「奇妙な果実」と出会い、自分自身の人生と歌とを重ね合わせることにより歌にドラマを持ち込むというそれまでにはない新たな「歌のあり方」を開拓していくのです。

この選集にきわめて近いアルバムを挙げておきます。1枚目はコロムビア時代をまとめた選集、2枚目は中でもレスターとのコラボに焦点を当てたすばらしいコンピです。

Tags: Holiday, Billie · vocal · Wilson, Teddy · Young, Lester

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