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Bud Powell: Best (Steeplechase) | jazz.info

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Bud Powell: Best (Steeplechase)

June 24th, 2008 · No Comments

Bud Best
バド・パウエルには大学のように「前期」と「後期」があって、前期はもう天才の極地。次から次へとフレーズが飛び出るし、どんなにチョッパヤでもものともせずガンガン進んでいた時期で、アルバム的には『バド・パウエルの芸術』、『ジャズ・ジャイアント』、『ジニアス・オブ・バド・パウエル』それに、ブルーノートの『Vol.1』『Vol.2』などを指します。一方、後期とは上記のアルバム以外の時期を指し、天才性の閃きに翳りが出てきたとか、指がもつれるようになったとか、精神に異常を来たしたとか色々言われていますが、要は前期ほどの輝きや興味を持てなくなった時期を指します。

もっとも、日本で人気の「クレオパトラの夢」は後期作品のアルバムに属しているし、後期にも波があって、いい時期と悪い時期があることは油井先生が指摘している通りです。今日紹介するのは、後期も後期、1962年にストックホルムのクラブ「ゴールデン・サークル」で録音された『アット・ゴールデン・サークル』全5集のベスト盤です。バドの『ゴールデンサークル』は名盤なんですが、何せ5枚もあるし、重複曲も多いし、うめき声がいつも以上だし、そもそも評判の悪い後期だし、ということで知る人ぞ知るといった位置に落ち着いています。その中から選りすぐったベスト盤ということで、バドの全キャリアを通じてのベスト集ではないことを断っておきます。また、未発表盤からも4曲ほど取られています。

録音は1962年4月19日と23日、および9月という記録です。メンバーはバドの他、ドルビョン・フルトクランツ(b)、スーネ・スボングベリー(ds)となっています。地元のミュージシャンでしょうか。時期的には大江健三郎が「老いたセイウチ」とたとえた時期と重なるかもしれません。

いつも通り1曲づつ紹介してもいいのですが、このアルバムに関してはそれを避け、特筆すべきトラックについて書きたいと思います。

まずは2曲目の "I Remembaer Clifford"。音楽が止まりそうで止まらない、ギリギリのところで圧倒的に成立している名演です。以前、若い友人と一緒に音楽を聴いていて、ある音楽家(いわゆるアイドル)の演奏に関して「この音楽は止まっているね」と言ったところ、「どういうことだ?」と質問を受け、音楽が止まる感覚が分からない人もいるのかと気づきました。ということでここに私なりの考えを書いてみたいと思います。

「音楽が止まっている」というのは、休符と関係します。休符を無意味に休んでいるような音楽は、どこか「止まっている感じがする」。仮にインテンポでも休符で気を抜いた途端、音楽は止まります。ドラムやベース、ポップスなら打ち込みがステディーなビートを刻んでいるので止まりそうになくても、やっぱり休符での気の抜き具合が伝わってくるような時、つまり、休符以前と休符以降がブッツリと切れているような時、私は「止まっている」と表現します。

ジャズだと、普通にやっていれば止まらないんですが、あまりにもテンポを落とすと、休符に漂う緊張感いかんで、止まって聴こえる時がある。バドのこの曲の演奏はテンポが遅すぎて=休符の間が長くて、普通なら止まって聴こえそうなほどの演奏なんですが、流れていく。理屈としては、おそらく音楽の底流に細分化された急速なビートが流れているんでしょうが、分かりやすくいえば、休符を休んでいない、休符こそ歌っているわけです。

おそらくもうボロボロだったと思うんですね、この時期のバドは。全盛期に比べて指も動かないし。にもかかわらず、音楽になっているのはこの点あるんじゃないかと思うわけです。同じことは、もう少しテンポは上がりますが、 "Like Someone in Love" にも当てはまります。この曲といったらバドを抜きには語れないほどはまった演奏です。

この時期のバドは、うなりつつ口をモグモグさせていた、いわゆる「モグモグのバド」です。

いずれにせよ『ゴールデン・サークル』は枚数が多い上に、散漫なところもあり、こういうベスト集は本当に助かります。これで全体を俯瞰した後、1枚づつ買い揃えていくのがかしこいやり方だと思います。このアルバムの魅力にはまれば、立派なバド・ファンです。いまは廃盤ですが、丁寧に中古店を当たれば必ずあります。ジャケは上の画像を参照。

Tags: piano · Powell, Bud

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