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Stan Getz: Stan Getz Plays (Verve)

July 24th, 2007 · No Comments

stan getz plays

ゲッツのヴァーヴについては、前に『ウェスト・コースト・ジャズ』を紹介しましたが、そこでも予告していたヴァーヴ第1作にして傑作がこの『スタン・ゲッツ・プレイズ』です。

まずこのジャケットがいい!このジャケットを見ていると「ゲッツとはなんていい人間なんだろう」と思えてきますがしかし、彼はどうも人格に難のある人だったらしい。詳しくはビル・クロウの『さよならバードランド』を読んでいただければ分かりますが、この本で私自身ショックを受けたのはベニー・グッドマンとスタン・ゲッツの裏の顔だったりします。

芸術は表現者そのものを表現するといいますが、しかし、この定義は嘘ではないかと思えるほど、ここでのゲッツは素晴らしい。私のようにそそっかしい人間にはよくあることですが、大体1曲目の出来でいい悪いを決めてしまう。これはあながち間違ったことではなくてセッションの中から曲を配列するとき、その配列のセンスというのは確実に見えてくるわけで、クロノロジカルな選集を除いて1曲目に何を持ってくるかにはそのセンスが如実に現れるわけです。特にプロデューサーが優れている場合、1曲目に星となるような演奏を持ってくるので、それで全体の水準が推し量れるのです。

それにしても、このアルバムの1曲目 "Stella by Starlight"。凄すぎます。これはわりと難しい(転調の多い曲で、そのコード感を残しつつ、自然で綺麗なフレーズを出すのが大変な)曲なんですが、ゲッツは難なくそれを達成しています。ソロの2コーラス目なんか、本当にうっとりしてしまいます。4曲目の "The Way You Look Tonight"(今宵の君は)や5曲目 "Lover, Come Back to Me" 通称「ラバカン」のような急速調の曲でもソロのメロディーが曖昧とするところはなく創意にあふれています。8曲目、 "You Turned the Tables on Me" はベニー・グッドマンのところでの経験があったればこそ、9曲目 "Thanks for the Memory" は、ミルドレッド・ベイリー?ゲッツ?ショーターとつなぐ一本の伝統の橋を連想させる、実に味わい深いバラードです。

LPフォーマット時代は前半12曲の構成で、メンバーはゲッツのテナーにジミー・レイニー(g)、デューク・ジョーダン(p)、ビル・クロウ(b)、フランク・アイソラ(ds)です。CDになって追加された4曲はゲッツのほかジミー・ロウルズ(p)、ボブ・ウィトロック(b)、そして御大マックス・ローチ(ds)です。

私はCD時代初期の輸入版で求めたのでボーナストラックが4曲も入っていますが、最近のCDでは音質重視のせいか1曲程度しかボーナスが入っていないのですね。アマゾンではいま手に入りづらいですが、すぐに再発されると思います。今すぐという人は、街のCD屋を覗いてみればありますよ。

Tags: Getz, Stan · tenor sax

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