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"Louis Armstrong, Charlie Parker." (Miles Davis summarizing the history of jazz)

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Billie Holiday: At Carnegie Hall (Verve)

March 1st, 2014 · No Comments

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First Set: Roy Elderidge (tp), Coleman Hawkins (ts), Carl Drinkard (p), Kenny Burrell (g), Carson Smith (b), Chico Hamilton (d)
1. Lady Sings The Blues With Reading From Lady Sings The Blues
2. Lady Sings The Blues
3. Ain't Nobody's Business If I Do
4. Trav'lin Light With Reading From Lady Sings The Blues
5. Reading From Lady Sings The Blues #3
6. Billie's Blues
7. Body And Soul
8. Reading From Lady Sings The Blues #4
9. Don't Explain

Second Set: Back Clayton (tp), Tony Scott (cl), Al Corn (ts), Carl Drinkard (p), Kenny Burrell (g), Carson Smith (b), Chico Hamilton (d)
10. Yesterdays
11. Please Don't Talk About Me When I'm Gone
12. I'll Be Seeing You
13. Reading From Lady Sings The Blues #5
14. My Man
15. I Cried For You
16. Fine And Mellow
17. I Cover The Waterfront
18. What A Little Moonlight Can Do

1956年11月10日、カーネーギーホールでのライブコンサート盤である。
トラック1,4,5,8,13は自伝と言われる Lady Sings the Blues(邦題『奇妙な果実』)の一節を New York Timesの Gilbert Millsterinが朗読したものである。この自伝なるものについては以前にも書いたが、全く信用してはいけない書物である。ビリーが当座の金欲しさにウィリアム・ダフティーというタブロイド記者に適当に書かせた扇情的記事の集大成であり、これはウィリアムの妻メイリー・ダフティーがビリーの寄生虫であった関係からである。ビリーの音楽を耳にしながら、この自伝に感激する人は音楽的にも文学的にも絶対に信用できないことを、ふたたび強調しておく。

このカーネギーホールコンサート自体、いわゆる「出版記念コンサート」の態であり、その意味ではジャズ的興味が薄い。しかし彼女の喉の状態がよく、サイドメンもロイ・エルドリッジ、バック・クレイトン 、コールマン・ホーキンス、アル・コーンと興味深いメンバーが揃っている。リズム隊もウェストコーストを強力にスイングさせたチコ・ハミルトン・クインテットである。もっとも、サイドメンに十分なソロパートはなく、喉の調子はいいものの晩年のビリーの弱点である「おきまりの歌をおきまりの歌い方で歌う」癖に陥っていて、個人的にはそれほど勧められるものではない。

以前なら、ビリーの得意曲をまとめて聴ける名盤という側面で推薦も出来たのだが、CD時代の現在では下に紹介するようなお徳用コンピレーションが出ているので、そちらの方を強く推薦する。

こちらはマニア向けオリジナルジャケット

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Benny Goodman: Carnegie Hall Jazz Concert (Sony)

January 16th, 2013 · 2 Comments

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75年前の今日、1938年1月16日、ジャズ史上最も重要といわれるコンサートが開催された。ベニー・グッドマンによるカーネギー・ホール・コンサートである。それまで下賤な音楽と思われていたジャズが、クラシックの殿堂カーネギー・ホールで演奏された瞬間である。

このコンサートの模様がレコードとして世に出されたのはそれから12年後の '50年のこと。コンサートの実況は大型ディスクにカッティングされ、1枚は米国国立図書館収められていたがもう1枚が行方不明だったところ、たまたまベニーの娘が家の中から見つけ出したと言われている。しかし、こんな大切な記録が行方不明になるっていったい…

曲目は
Disk 1-Side A
1. Don't Be That Way
2. One O'clock Jump
3. Dixieland One Step (= Sensation)
4. I'm Coming to Virginia
5. When My Baby Smiles at Me
6. Shine
7. Blue Reverie
8. Life Goes to a Part

Disk 1-Side B
1. Honeysuckle Rose
2. Body and Soul
3. Avalon
4. The Man I Love

Disk 2-Side A
1. I Got Rhythm
2. Blue Skies
3. Loch Lomond
4. Blue Room
5. Swinging in the Rockies
6. Bei Mir Bist Du Schon
7. China Boy

Disk2-Side B
1. Stompin' at the Savoy
2. Dizzy Spells
3. Singm Sing, Sing
4. Big John's Special

私の持っているのはLP盤なので2曲("Sometimes I'm Happy"と"If Dreams Come True")がカットされているが、CD盤では補われている。

聴くべき曲は多いが、まずはオープニングの "Don't Be That Way" (その手はないよ)である。ソロのうしろでぐっと踏み込まれるジーン・クルーパのバスドラが、ジャズの勝利を祝う祝砲のように響き渡る。1-Aの3~7曲目は「ジャズの20年史」と題された企画もので、それまでのジャズ史20年の中で重要な演奏が取り上げられている。3.はODJB(オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド)にちなんだ曲であるが、曲名クレジットが間違っていて、本当は「センセーション」という曲。4.はビックス・バイダーベックに、5.はテッド・ルイス、6.はサッチモに、そして7.は実際にエリントニアン3名(ジョニー・ホッジス、クーティー・ウィリアムス、ハリー・カーネイ)を招いてエリントンにちなんだ曲である。

前半最大の聞き物は、なんといっても1-Bの1曲目、 Honeysuckle Roseである。BGのバンドメンに加え先のエリントニアン、おまけにベイシーアイツまで加わったジャムセッション。ソロはカウント・ベイシー(イントロ)→ハリー・ジェームス(テーマ)→レスター・ヤング(ts)→ベイシー(p)→バック・クレイトン(tp)→ジョニー・ホッジス(as)→ウォルター・ペイジ(b)→BG(cl)→ハリー・ジェームス(tp)の順で取られるが、圧倒的なのはやはりレスターのソロである。

2-Aの3曲目「ロック・ロモンド」と6曲目「素敵なあなた」はマーサ・ティルトンの歌入りだが、面白いことに「ロック・ロモンド」はスコットランド民謡、「素敵なあなた」はヘブライ民謡と、どちらも民謡由来の曲である。

後半最大の聞き物にして、このコンサートを象徴する演奏が2-Bの3曲目、知らぬ人とてない「シング・シング・シング」である。特に後半に聞かれるジェス・ステイシーのピアノソロは畢生の名演で、そのシングルトーンを生かしたソロは、アール・ハインズがサッチモとやった28年の「セントジェームズ病院」のメランコリックなソロを彷彿とさせる。

このアルバムは、奇しくも「ジャズの20年史」というコーナーに象徴されるように、これまでのジャズ史を集大成してその価値を高めたコンサートである。逆に言えば、これは終着点であり、ここから新しいムーブメントが起こるということはなかった。だが、このコンサートにインスパイアされたジョン・ハモンドによって、同じ1938年と39年の暮れにカーネーギー・ホールで『スピリチュアル・トゥー・スイング』コンサートが開かれることとなり、そこから新しいムーブメントが起きることとなった。

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Billie Holiday: All or Nothing at All Disc 2 (Verve)

January 3rd, 2013 · No Comments

all or nothing

Disc 2は'57年1月7,8,9日のセッション計13曲が収められている。

1. Day In, Day Out
2. Darn That Dream
3. But Not For Me
4. Body & Soul

5. Just Friends (Instrumental)
6. Stars Fell On Alabama
7. Say It Isn't So
8. Our Love Is Here To Stay
9. One For My Baby (& One More For The Road)

10. They Can't Take That Away From Me
11. Embraceable You
12. Let's Call The Whole Thing Off
13. Gee, Baby, Ain't I Good To You?

この数日ビリーは絶好調だったようだ。1曲目の "Day In, Day Out" などブランスウィック時代に戻ったかのような歌いっぷりで、歌に続くソロ(ハリー・スイーツ(tp)~バニー・ケッセル(g)~ジミー・ロウルズ(p)~ベン(ts))まで脂ののりきった演奏が続く。2曲目 "Darn That Dream" も本来とは違って若干明るい曲想で歌われ、ハリーは "It Might as Well Be Spring" の一節を、ベースのレッド・ミッチェルも "My Old Flame" の一節を引用したソロを取るなどなかなかにゴキゲンで、ちょっとハイテンションな演奏が続く。8曲目 "Our Love Is Here to Stay" のソロ後の歌など、かなり大胆にメロディーラインをアドリブしていて「ちょっと、レディーどうしちゃったの?またキメてんの?」と訊きたくなる程だ。
同じことはバラード群にも当てはまり、4曲目の「身も心」も、6曲目の「アラバマに星落ちて」、そして11曲目の「エンブレイサブル・ユー」も普段より気持ち速めのテンポでわりとロジカルに歌われていて、深く沈み込んでいくようなビリー特有の暗さがあまりない。

これらのレコーディングを聴きながらふと気づいたのだが、ちょうどのこの前年の’56年12月、ジョン・レヴィーというちんけなギャングが死んだ。この男、実はレディーのかつての愛人兼マネージャーであり、彼女を取り巻いていたろくでなし男の中でも群を抜いて質の悪いDV男であった。例えば宿泊先のホテルで彼女の髪をつかんでホテル中を引きずり回したり、絶対に反抗できないように酷い暴力を振るっていたという証言がある。この時期、別のマネージャーと別の恋人を見つけていたビリーではあったが、この男の呪縛からは逃れられていなかったのではないか。コモドアレコードのミルト・ゲイブラーも「彼女は一人、死ぬ程恐れている男がいた」と証言しているが、おそらくこのレヴィーであろう(この証言ヴィデオの背景に思いっきり彼が映し出されていた)。そいつが死んだ。幾分かの悲しみはあっただろうが、それ以上に解放感で満たされていたにちがいない。

最後のチューン、"Gee Baby" の冒頭 "What makes me treat you the way I do" のいつになく高揚した歌い方を聴くと、 このような背景に思いをはせるのである。

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Billie Holiday: All or Nothing at All Disc 1 (Verve)

January 2nd, 2013 · No Comments

all or nothing

ビリー・ホリデイ後期の最高傑作は下に取り上げた’55年8月23日と25日のセッションだと思うが、それに劣らず素晴らしいセッションがある。'56年8月14日と18日のセッション、そして「ビリーのマラソンセッション」と言われる’57年1月3日から9日までの土日を除く5日間のセッションである。これらのセッションは、生前3枚のアルバムに分散されて収録されていた。All or Nothing at All, Songs for Distingue Lovers(邦題『アラバマに星落ちて』), Body and Soul であるが、この3枚を2枚組にまとめ、なおかつ吹き込み順に並べた好アルバムを紹介する。

タイトルは1枚目のアルバムと同様 All or Nothing at All。Disk1には'56年8月14日と18日、および'57年1月3日と4日の15曲が収められている。

1. Do Nothin' Till You Hear From Me
2. Cheek To Cheek
3. Ill Wind (You're Blowin' Me No Good)
4. Speak Low

5. We'll Be Together Again
6. All Or Nothing At All
7. Sophisticated Lady
8. April In Paris

9. I Wished On The Moon
10. Moonlight In Vermont
11. A Foggy Day

12. Didn't KNow What Time It Was
13. Just One Of Those Things
14. Comes Love (Alternative Take)
15. Comes Love

まず8/14の演奏であるが、選曲がよい。スイングテンポの "Do Nothing," アップテンポでビリーも後半アドリブを展開する "Cheek," バラードの "Ill Wind," そしてラテンで演奏される "Speak Low" である。声がだんだんきつくなっていることが痛い程分かるが、どれも楽しく、そして心を打つ歌唱であり、バックミュージシャンのソロである。

18日の4曲で特筆すべきは6曲目のタイトル曲、 "All or Nothing" である。この頃になると彼女は狭まった音域をカバーするために、時に語るような歌うような節回しをするところがある。この曲のサビに聴かれる節回しがまさにそれであり、この特質は年を追うごとに強まり、『レディー・イン・サテン』に至るのである。また7曲目のエリントンナンバーに聴かれるベン・ウェブスターのソロは絶品であり、同曲のテナーソロの中でも1,2を争う。それもそのはずで、ソフィスティケイティッド・レディーと言えばエリントン楽団のバリトン奏者ハリー・カーネイだが、彼のコッテリとしたサウンドに合うように作られたこの曲を、テナーの中ではかなりのとんこつ派というかコッテリ派のベンに合わないわけがない。

'57年に入ってからのセッションでは、10曲目「ヴァーモントの月」などもはや出すことの出来ない高域を補う工夫がされていたりするが、1月4日のセッションではかなり調子がよく、「時さえ忘れて」も「ジャスト」もヴァースから歌い、ソロを挟んだ後半では「あの頃」のような独自のタメと後乗りでスイング感も満載である。そして "Comes Love" 別テイクを含むこの曲は、「ビリーのマラソンセッション」中でも最高の出来を示した1曲である。

Disk2の各曲については、いずれまた(っていつになるやら・・・)

オリジナルがいいという方のためには。

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Billie Holiday: Music for Torching (Verve)

May 9th, 2011 · No Comments

ヴァーヴにおけるビリーの第5集である。このアルバムはオリジナルでは8曲の構成で、ほとんどの曲が「トーチソング」と呼ばれる、身も心も焦がす松明のような愛の歌であったためこのように題されている。現在では、このオリジナル盤CDのほかに同時期に発売された Velvet Moods とカップリングしたものがあり、ここではそのカップリング盤をテーマとして取り扱う。

というのも、このオリジナル盤で2枚にわたるアルバムはすべて’55年8月23日と25日に同じメンバーによって吹き込まれたものであり、さらに重要なことに、ここで取り上げられた曲のほとんどが、「ノーマン・グランツによってサジェストされたビリーにとっての新曲」だからである。ヴァーヴ時代のビリーの弱点として声の衰えとともに「決まり切った曲を、決まり切った歌い方で歌う」ことが挙げられることは、以前にも指摘したとおりであるが、ヴァーヴのプロデューサー、ノーマン・グランツの努力もあって、いくつかの新曲に挑戦している。その多くがこのアルバムに収められている点が重要であり、2枚に分散して集めるよりも、この1枚で聴いた方がすっきりと見やすいと思うのである。

今回が初出ではない曲は "I've Gotta Right to Sing the Blues," "Nice Work if You Can Get It," "Fine Romance," "Everything I Have Is Yours" であるが、特に前者3曲は久しぶりの吹き込みであり、事実上新曲と変わるところがない。そしてどの曲も、前日にトリオによる入念なリハーサルが施されていることも注目に値する。おそらくこの日ビリーとグランツの意気込みは相当なものであったのではないだろうか。

メンバーはビリーのほか、ハリー・エディソン(tp)、ベニー・カーター(as)、バーニー・ケッセル(g)、ジミー・ロウルズ(pとセレステ)、ジョン・シモンズ(b)、ラリー・バンカー(ds)。

特筆すべき曲としては6曲目の "Please Don't Talk about Me"。「私がいなくなってから、あれこれ陰口叩かないで」という内容の歌で、ビリーの人生や死後と重ね合わせていろいろ詮索できるが、そういうのは意味がなくて、この演奏そのものがすばらしい。この曲の原メロディーは出だしから上昇下降の音型がはっきりしていて、プリーズの「プ」アバウトの「ア」、アイムの「ア」を山として上がったり下がったりするのであるが、ビリーはここで再びメロディーの動きを簡素化し、変わってリズムに彩をつけていく。まさにビリー・ホリデイ的瞬間である。特に、ソロが終わってから歌うワンコーラスは圧巻で、"Listen!"という間投詞の絶妙なタイミング、"if you can say anything real nice" を叩きつけていく下り、サビのメロディーとリズムの改変、そして"Makes no difference" に入るまでの、気の遠くなるような3拍半のタメ、どこをとってもビリー・ホリデイでしかなしえない名唱である。間のソロも、構成力と力強さのベニー・カーター、モダンな感覚のバニー・ケッセル、同時代を共有していたハリー・エディソンの名演が光っている。私は、この演奏を後期におけるベストの一つとして、前期の "Me, Myself and I" に匹敵しうるものだと考えている。もちろんジャズ的興味からの観点ではあるが。そして彼女はこの曲を気に入ったようで、これ以降何度か吹き込みをしていて、最晩年のロンドン公演で歌う映像も残されている。

10曲目の "I've Gotta Right to Sing the Blues" は'39年4月29日の「コモドアセッション」つまり「奇妙な果実」の吹き込みと同じ日のセッション以来16年ぶりの吹き込み。この歌が形式としてのブルースではないことについては以前に述べたが、それでもブルースフィーリングを感じさせるとも指摘した。今回の吹き込みは、バックのエディソンの熱演も手伝ってさらにブルース度が上がっていて、とてもできがよい。

さらにすばらしい成果といえるのが、12-13曲目の "Fine Romance" である。12曲目はテイク2でリハというか流していく感じ、13曲目はテイク8、つまりそれだけテイクが重ねられて完成した。テイク8ではベニー・カーターとハリー・エディソンによるオブリガートが、往年のレスター・ヤングとバック・クレイトンのそれを彷彿とさせ、実に生き生きとした演奏になっている。

ラテンリズムで演奏される15曲目の "I Get Kick out of You" はビリーの歌とそれに絡むハリーのオブリガートもすばらしいが、そのあとに出てくるベニー・カーターのソロが抜群で驚異的ですらある。プレモダンのアルト(つまりパーカー以前のアルト)ソロとしては1,2を争う名演。後半の歌に対するハリーのオブリガートはちょいとやり過ぎ:P

私はジャズの観点が強すぎるのか、どうしてもミディアムテンポ以上のものをよしとする傾向があるけれど、ここで取り上げた曲以外でも十分に聴き応えのある演奏と歌であることは間違いない。


または
 

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Billie Holiday: Lady Sings the Blues (Verve)

May 2nd, 2011 · No Comments


ビリー・ホリデイについて没後50周年を記念して前期から後期まで網羅して書くと豪語しながら、もう2年も超過してしまった。ビリー・ホリデイのヴァーヴにおける第4集は、トニー・スコット (cl), チャーリー・シェーヴァース (tp), バド・ジョンソン (ts)らのオーケストラをバックに従えたテイクを集めた物。前半7曲が'55年2月のセッション、後半8曲が'56年6月のセッション。

1. Say It Isn't So
2. I've Got My Love To Keep Me Warm
3. I Wished On The Moon
4. Always
5. Everything Happens To Me
6. Do Nothin' Till You Hear From Me
7. Ain't Misbehavin'
8. Trav'lin' Light
9. I Must Have That Man!
10. Some Other Spring
11. Lady Sings The Blues
12. Strange Fruit
13. God Bless The Child
14. Good Morning Heartache
15. No Good Man
16. Rehearsal For God Bless The Child

3曲目の "I Wished on the Moon" はブランスウィック・セッション以来の実に20年を経ての吹き込み。ヴァースから歌い始め、ゆったりとした4ビートに乗って昔を思い出すかのようにしっとりと歌う。中間に聞かれるピアノソロはビリー・テイラー。4曲目 "Always" のクラリネットソロは極めてモダンなテイストを持ったトニーの真骨頂である。5曲目、マット・デニス作の "Everything Happens to Me" はジャズの大スタンダードだが、ビリーにとっては初吹きこみ。「○○すれば必ず××する」式の非常にコミカルな歌詞を持った歌で、プロデューサーのノーマン・グランツが「ビリーにトライさせた歌」の一つかもしれない。楽器のソロを挟んでの後半、サビから入ってくるビリーの展開は往年の輝きを感じさせ、かなり言葉が詰まった歌詞であるにもかかわらず、当意即妙に崩している。5曲目の "Do Nothing till You Hear from Me" はいわゆるエリントン・ナンバーで、彼女にとっては10年ぶりの吹きこみ。あまりテンポを上げられなかったのか、シェーヴァースのソロになるといわゆる「倍テンポ」が設定されている。 ”Ain't Misbehavin'" (浮気はやめた)はファッツ・ウォーラーの曲でサッチモが大ヒットさせたスタンダード。意外なことにビリーはこれが初吹きこみ。しかしこれは吹込みの機会がなかっただけで、普段から歌っていた曲であろう。後半のアドリブは圧倒的である。

8曲目からは’56年のセッション。 "Travelin' Light" は手慣れた曲で、解釈が「結晶化した」歌。9曲目の "I Must Have That Man" は最初 "He's Funny That Way" かと思った。10曲目の "Some Other Spring" は実にしみじみとした解釈で、このアルバムでもベストに入るトラックである。11曲目でタイトルトラックともなった "Lady Sings the Blues" はこれが初吹きこみ。というより、自伝『奇妙な果実』(原題 Lady Sings the Blues) のタイアップ曲。私は昔からこの『自伝』と題されたセンセーショナル本が嫌いで、どうして嫌いなのかアニー・ロスやカーメン・マクレエの証言を聞いて腑に落ちた経験がある。彼女の音楽の魅力と釣り合っていないのである。訳も尊敬する油井先生ではあるが、なんか変な言い回しも多い。はっきり言って、この本を読んで感動したという人はジャズのレベルでも文学のレベルでも信用できない。そしてこの演奏であるが、タイアップ曲らしく非常に大げさでうるさく、まったくジャズとはかけ離れたトランペットのハイノートが曲の冒頭に配されていて腹立たしい(笑)。次の "Strange Fruit" もタイアップ色が強いもので、同じようにわざとらしいトランペットのイントロダクションが施されている。こういうこけおどしの演奏に騙されてはいけない。むしろこの日のセッションの本当の成果は13曲目の "God Bless the Child" である。おなじみのものではあるが、テンポ設定やバックの演奏がツボを得たもので、同曲としてはベストな出来を示している。14-15曲目も大傑作とは呼べないものの平均以上の出来を示している。そしてこの原因はソロこそ取らせてもらえなかったものの、バックで確実なサポートをしているウィントン・ケリーの参加による部分が大きのではないかと密かに思っている。

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Supersax: Plays Bird (Capitol)

April 20th, 2011 · No Comments

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パーカーのアドリブラインをそのままサックスのソリで演奏するというユニークなバンドがスーパーサックスである。私はNHK-FMの『ウィークエンドジャズ』という番組でパーカーの "April in Paris" に続いて、彼らの同曲が流れたのを聞いて印象に残っている。オリジナルレコードに聞こえるパーカーのラインは音が悪いのが原因で聞き取りづらい。まして初心者では「なんか遠くのほうでめまぐるしくフレーズが回転している」としか思えない時がある。まあ慣れてくれば大丈夫なのだが。

最近になって、EMIから「ジャズ名盤999」(要するに999円)シリーズでリイシューされていたので買った。当時はもっと聞くべきものがたくさんあったので、こういうちょっと外側にあるメタジャズというかネタジャズに手を伸ばす余裕がなかったのである。そう。これは一種のネタなのである。そのせいか当時から「これはジャズか否か」なんて議論があった。答えは「主流ではないけれど、やはりジャズ」ということでいいと思う。というか、昨今はこういう問いの立てかた自体が古臭いみたいだ。

1曲目 "Koko" はサボイのオリジナルから。もう何度書いたか分からないが、元歌は「チェロキー」であり、この曲のブリッジの処理でパーカーは「頭に鳴っていた音を実現できた」と述べている。この曲はいわばビバップの聖典である。2曲目の "Just Friends" は『ウィズ・ストリングス』のテイクから取ったもの。パーカーのソロの中にずっと聞き覚えのあるフレーズがあって、でも元歌を思い出せなかったのだが、この演奏を聞いていてひょっこり思い出した。ビリー・ホリデイの "My Man" である。3曲目 "Parker's Mood" はBbブルーズの極地で、やはりサボイ・セッションのもの。この3曲で十分といえるラインナップである。

4曲目の "Moose the Mooche" はダイアル盤のソロではなくて『ロックランドパレス』のソロだと思う。アドリブの冒頭でドボルザークのユーモレスクを引用している。私はギターで「酒バラ」をやる時、アドリブラインのエンディングにユーモレスクを持ってきて遊んだりする。5曲目 "Star Eyes" はヴァーヴのセッションだが『スウェディッシュ・シュナップス』のバージョンではなくて『ジャズ・パレニアル』に入っていたバージョン。イントロの違いですぐ分かる。6曲目の "Be-Bop" はダイヤルにおける「ラバーマンセッション」からのものではなく、ロイヤルルースト・セッションのテイクのアドリブライン。7曲目 ”Repetition" 8曲目 "Night in Tunisia" は演奏も多く、ただいま捜索中。9曲目 "Oh, Lady Be Good" は、レスターのソロをパーカーが徹底的にコピーしたことで有名な曲。初期の演奏にはレスターの痕跡が残っているが、ここではまったくのオリジナルなのでJATPのテイクだと思う。最後の "Hot House"。アドリブ冒頭の1コーラスはミュージクラフトのセッションだが、残りのコーラスは不明。途中元歌である "What Is This Thing Called Love" のフレーズが出てきたりして、おそらくいくつかのアドリブをつなげたものであろう。

とまあ、こういう元ネタ探しの探偵的な聞き方も楽しいのだが、やはり驚異的なパーカーのアドリブラインと、それを演奏する倍音豊かなサックスユニゾンの響きを堪能するのが正しい聞き方だと思う。

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どんなにつらい時でも

March 13th, 2011 · No Comments

君が微笑めば 世界は君とともに微笑む
君が笑えば 太陽の光が差し込んでくる

でも君が泣いてしまったら 雨が降る
だから 黙ってなんかいないで
ふたたび 幸せな気持ちになろう

微笑み続けるんだ なぜなら
君が微笑めば 世界は君とともに微笑むのだから

一関の「ベイシー」さん
陸前高田の「ジョニー」さん
一日も早い街の復興とお店の復興をお祈りしています。

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休刊:ジャズ専門誌「スイングジャーナル」 部数低迷で

May 18th, 2010 · No Comments

 60年以上の歴史を持つジャズの専門月刊誌「SwingJournal(スイングジャーナル)」が6月発売の7月号をもって休刊することになった。発行元のスイングジャーナル社は、20日発売の6月号で休刊を発表する。

 同誌は1947年6月に創刊。多くのジャズファンに愛されてきた。同社によると、70?80年代には約30万部を発行していたが、最近は部数が低迷。CDの売り上げが激減した影響で、レコード会社からの広告出稿も減っていたという。姉妹誌の音楽雑誌「ADLIB(アドリブ)」も4月発売の5月号で休刊したばかりだった。

 スイングジャーナルの三森隆文編集長は「長い歴史を持つ雑誌だけに、今後も復刊の可能性を探っていきたい」と話している。
【関連記事】

* 月刊「アドリブ」:休刊へ

毎日新聞 2010年5月17日 19時13分(最終更新 5月17日 22時28分)

今期の『相棒』のエピソードに似通っているが、まさか本当に「あの」スイングジャーナルが・・・一説には、大富豪の道楽で出している雑誌なので、部数が落ちても(かなり以前から部数が減っていることは指摘されていた)決して廃刊にならないという噂があったのだが :)

わたしも最近はほとんど買っていなかった。もっとも売り上げ部数よりも、広告収入の激減が大きいのではないだろうか?
CD売り上げの落ち込みや、この不景気でオーディオ機器の売り上げも落ちて、広告が入らなかったんだろう。

一度は廃刊になった『ジャズライフ』が復活を遂げたように、『スイングジャーナル』も復活して欲しい。ということで遅まきながら今月号と来月号は購入しようと思う。

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Billie Holiday: Recital by Billie Holiday (Verve)

February 13th, 2010 · No Comments

今回紹介するアルバムは、ビリーのヴァーヴ集における第3巻。52年と54年のスタジオ・セッションが収められている。ところで、日記ブログのほうには書いたけれど、文体を「ですます調」から「である調」に変更したので、これまでの記事よりぶっきらぼうに響くかもしれないけれどご勘弁を。

1. My Man
2. Lover, Come Back to Me
3. Stormy Weather
4. Yesterdays
5. He's Funny That Way
6. I Can't Face the Music

以上の6曲が52年7月27日のセッションである。メンツはビリーのほか、ジョー・ニューマン(tp)、ポール・クィニシェット(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、フレディー・グリーン(g)、レイ・ブラウン(b)、ガス・ジョンソン(ds)である。

トランペットのジョー・ニューマンはApril in Paris, Basie in Londonを含むベイシー中期の大傑作に参加しているトランペッター。マイルスとはまた違う鋭くてすばしこい感じのミュートプレイが得意な人物である。テナーのクィニシェットは以前にも触れたように、レスター・ヤングそっくりのため「副大統領」というあだ名を付けられたほどレスター派の人物。リズム隊に関してはわざわざ解説するまでもない名人たちである。

1曲目の "My Man"。よく使う表現だがこれも完全に「結晶化」した歌であり、デッカの頃とほとんど変わらない解釈で歌われている。ヴァースの部分ではクィニシェットが、コーラスの部分ではジョーがそれぞれオブリガートを付けている。ヴァースの最後にリタルダンドがかけられている点が特色といえば特色。明暗のはっきり分けられた音色のオブリガートと、このリタルダンドによってヴァース部分の絶望的な世界と、コーラス部分の諦観を含みつつの明るい世界観が対比される。2曲目の "Lover, Come Back to Me" も何度か吹き込まれているが、ここでの演奏は明確な4ビートに裏打ちされてモダンな響きを持った歌い方になっている。テンポはかなり速め。コモドア盤の様に、前進的なオン・ビートではなくオフ・ビートの伴奏だが、少しせかせかした感じになってビリー特有の崩しは減っている。ラストはテンポを落としたブルース処理。3曲目の "Stormy Weather"といえば美しきリナ・ホーンのメリハリの利いた歌い方が思い出されるが、ビリーのほうはけだるい感じで、ブルース・フィーリングをたたえながら歌っている。ジョーがオブリガートを付けているが、共に歌い共に泣く感じがベッシーとジョー・スミスのコラボを思い起こさせる。4曲目の "Yesterdays"もコモドアの再演となり、こちらはラバカンとは違ってコモドアとテンポがほとんど一緒。2コーラス目でテンポを上げるところも忠実に再現していてビリーの声のかすれとバックの4ビートがなければ、コモドアの別テイクと思うほど、、、とは言いすぎかな :P

5曲目の "He's Funny That Way" もこれまたコモドアやコロムビアの再演であり、故大和明先生はこの曲のコモドア盤を彼女の最高傑作のひとつに数えられている。本盤ではヴァースから歌い始め、テンポも程よい。そして最後の "I've got the man, crazy for me"のところを思い切り上げて全盛時代を髣髴とさせる歌いぶりである。6曲目の "I Can't Face the Music" はこの日のラスト・レコーディングで、ブルース風に処理しながらクィニシェット、ニューマンのオブリガートに支えられて歌い上げている。個人的にはこのトラックが一番好きだ。

53年はキャバレー・カード問題が大きく尾を引いて、地方や外国周りに費やされたような感じでスタジオ・レコーディングは Billie Holiday Discographyを見てもライブセッションが2つ残るだけである。

7. How Deep Is the Ocean?
8. What a Little Moonlight Can Do
9. I Cried for You
10. Love Me or Leave Me
11. P.S. I Love You
12. Too Marvelous for Words
13. Softly
14. I Thought About You
15. Willow Weep for Me
16. Stormy Blues

7曲目からは54年のスタジオレコーディング。7-9は54年4月14日レコーディング。メンバーは、トランペットにチャーリー・シェイヴァーズ、ワンホーンである。リズム隊はオスカーPのピアノにハーブ・エリス(g)、レイ・ブラウン(b)、エド・ショーネシー(ds)。
"How Deep Is the Ocean" はミディアム・テンポで歌われかなりモダンなテイストが利いた作品。そしてビリー不朽の傑作 "What a Little Moonlight Can Do" の再演。57年のようなエンディング処理はほどこされていないが、アップテンポに乗ったレディーの快唱が聴かれる。同じくビリー、そしてジャズ史上に聳え立つ "I Cried for You"。初演の当時はジャズ・レコードとしては驚異的な売り上げを記録した一曲である。最初は比較的スローなテンポで入って1コーラス歌い、2コーラス目はテンポをあげて歌っているが、うーむ初演ほどの感動はないかな。

10曲目からは9月3日のレコーディング。メンバーはハリー・スイーツ・エディソン(tp)、ウィリー・スミス(as)、ボビー・タッカー(p)、バーニー・ケッセル(g)、レッド・カレンダー(b)、チコ・ハミルトン(ds)。このリズム隊のメンツを見て分かるとおり、西海岸体制、ロスでの吹込みである。特筆すべきはトランペットのスイーツ。レスターにあだ名されたように豊かで甘みのあるトーンが魅力のベイシーアイツの一人。またウィリー・スミスはスイング・アルト御三家と称されたジョニー・ホッジス、ベニー・カーターと並ぶアルトの名手である。ホッジスのグリッサンドを多用した「叙情」、カーターのあたかもアコーディオンのように倍音成分も豊かな「華麗」に対して、よく「情熱」といわれるような熱っぽいソロが得意で、有名なところではパサディナ公会堂におけるライオネル・ハンプトンとの「スターダスト・セッション」が挙げられる。

10曲目の "Love Me, Or Leave Me" はコロムビア時代にも吹き込んだスタンダード。またこのコード進行を利用して作られたのが「バードランドの子守唄」ということでも有名な曲である。ここでのビリーはコロムビア盤よりもモダンな感覚で、やはりポスト・「ララバイ」的な感じがする。11曲目はこの時期のビリーとしては出色のバラード。西海岸風の良くいえば淡白なリズム・サポートを得てしっとりと歌っている。オブリガートのスイーツやウィリーも「よく分かっている」感じで控えめ。次の "Marvelous for Words" はライブで危惧したように歌い流している感じが気になる。2コーラス歌うのだが、後半特に驚くべきアドリブや彼女特有の崩しが施されていないからだ。アレンジがしっかりしてそうなので、その縛りがきつかったのかもしれない。13曲目は冒頭の情熱的なウィリーのソロも魅力な1曲。つぶやくようなレディーの歌が光るテイク。14曲目の "I Thought about You" も同様にしっとりとしたつぶやくような歌い方で聞かせる曲である。15曲目の "Willow Weep for Me" はブルースではないものの7thを強調したブルース感覚の強い一曲。この一曲は個人的に、なんというのかこの歌を吹いたり歌ったりする時のメートル原器になっているテイクである。16曲目 "Stormy Blues" は冒頭スミスのアルト、ハミルトンのブラシ+スネアも魅力的なブルース。「ブルースを歌うレディー」というインチキ・キャッチフレーズを付けられながら、その実吹き込んだブルースの数は非常に少ないビリーの貴重なブルースである。

この一枚は後期の中期というべきか、衰えつつも充実していた後期ビリーの夏を捉えた編集がなされた一枚である。ただ、厄介なことに同じジャケットで最近発売された一枚はこれとは収録曲がまったく異なる。おまけにここで紹介したものは廃盤ときている。
とはいえそちらも名作なのでどちらを買っても後悔しないはずである。

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