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Thelonious Monk: Thelonious Monk Trio (Prestige)

September 27th, 2007 · No Comments

monk trio

セロニアス・モンクの場合、バド・パウエルとは違ってピアノ・トリオの作品は驚くほど少ない。管を入れて分厚いハーモニーを出したほうがモンクの世界をより正確に描けるというのもあるのでしょうが、より大きな理由として、モンクはハーレム・ストライド・ピアニストの流れを汲んでいて、本質的にはソロ・ピアニスト兼作曲家だからだと思います。初期モンクのピアノ・トリオは3枚ほどで、1枚がこの『セロニアス・モンク・トリオ』、もう1枚が、『プレイズ・デューク・エリントン』(Riverside)、残りの1枚が『ザ・ユニーク』(riverside)です。後者2枚がそれぞれ「エリントン集」「スタンダード集」という性格なのにたいして、本作はモンクのオリジナルがメインとなっていて丸々1枚トリオで固めた(1曲ソロ・ピアノがありますが)作品としては最初のものです。

録音は1952年10月と12月セッション、そして1954年9月のセッション。メンバーは52年10月がゲイリー・マップ(b)とアート・ブレイキー(ds)、12月はドラマーがマックス・ローチに代わります。54年のセッションはパーシー・ヒース(b)とブレイキー。しかし、この疎らぶりはどうでしょう?一説には、「モンクはボブ・ワインストック(プレスティッジの社長)に飼い殺しにされていた」と言われていて、仕事が極めて少なかった。さらに、バドの罪をかぶるような形で麻薬所持の罪を着せられ有罪となり、あの悪名高き「キャバレー・カード」を取り上げられたため、クラブへの出演もままならなくなった。そんな時代の演奏なので、一種の開き直りというか、何ものにも媚び諂わず、哄笑すら聴こえてくるような演奏になっていますが、そこがまた魅力でもあります。

1曲目 "Little Rootier Tootie" はモンクのオリジナル曲。それにしても、テーマに聴かれる甲高い音。ホイッスルを模したものだそうですが、一種のシニシズムが感じられるような曲想です。アドリブに入るといきなりモンクの世界。アート・ブレイキーのドラミングはモンクの間を上手く埋めながら音楽を推進させています。2曲目の "Sweet and Lovely" は甘いスタンダードですが、テーマに差し挟む不協和音がその甘さを排除して、モンクの独自性を出しています。ソロに入ってダブルタイムになったあたりで、モンクのルーツであるストライド・ピアノや目くるめくピアノの技法が遺憾なく発揮されます。このピアノを聴いても、まだ「モンクは下手だ」という人がいたら、耳が逆さまについてるんだと思います 😛 続く3曲目 "Bye-Ya" はラテン・リズムを伴ったモンク曲。モンクのプレイに即座に対応するブレイキーが光る1曲です。4曲目 "Monk's Dream" はモンクが見た悪夢を模したと言われていますが、サビのところが面白いメロディーをもった曲です。ここまでの4曲が52年の10月セッション。

5曲目 "Trinkle Tinkle" からは12月のセッションになり、ドラマーがローチになります。曲名から分かるとおりキラキラした感じの曲想を持った複雑なナンバーです。6曲目は "These Foolish Things"。この大スタンダードも、モンクにかかると独自の曲のように聞こえます。7曲目(私のレコードだと、ここからB面)の "Blue Monk" はB♭のブルースで、私がとても好きな曲です。この曲と次の "Just a Gigolo" は54年のセッションにいったん飛び、再び最後の3曲が52年12月のセッションになります。ただ、CDでは曲順がいろいろになっているので注意してください。さて「ブルー・モンク」ですが、ブルースということもあって、マイルスとやったクリスマスセッションの「バグス・グルーヴ」にかなり近い演奏になっています。パーシー・ヒースとブレイキーがそれぞれ素晴らしいソロを取って、テーマに戻ります。この曲のすばらしさは、モンクの特質と同じく伝統的なものと近代的なものが見事に融合している点です。ニューオリンズ・アンサンブルでやっても違和感がないし、バップでやってもちっともおかしくない、そういう優れた特質を持った曲なわけです。「ジャスト・ア・ジゴロ」はソロ・ピアノ。モンクのロマンティックな資質がよく出ています。

9曲目は "Bemsha Swing"、再び52年12月のセッションです。ここではマックス・ローチが積極的にモンクに絡んで行き大活躍しています。最後の曲は "Reflections"。非常に美しい曲でいくつもの名演奏が残っている曲です。

モンク初期の傑作。

Tags: Blakey, Art · Monk, Thelonious · piano · Roach, Max

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