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"Louis Armstrong, Charlie Parker." (Miles Davis summarizing the history of jazz)

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Miles Davis: Seven Steps to Heaven (Columbia)

September 16th, 2007 · 1 Comment

Seven Steps to Heaven

"Seven Steps to Heaven"(「天国への7つの階段」)は、てっきりマイルスの作曲だと思っていたら、ヴィクター・フェルドマンの作曲と知って驚きました。マイルスの曲としては "Milestones" と並んで、心が広々と大空に拡大していくような曲想で、特に気に入っていた曲だからです。確かに、「マイルストーンズ」の時点でモーダルな曲になっているのに対して、「天国への七つの階段」はコーダルな曲で、サビなんか三度も転調しています。ライナーのクレジットだけでなく『自伝』にも「フェルドマンの持ってきた曲」と書かれているので気づいたというわけです。

アルバム『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』はこの曲の他、マイルスがスタジオ録音でスタンダード物をやった最後のアルバム、そしてハービー-ロン-+トニーが一堂に会した最初のレコーディングとして有名です。セッションは2つ。63年の4月と5月のもので、4月はロサンゼルス、5月はニューヨークでの録音です。さらにメンバーが違い、4月はヴィクター・フェルドマン(p)、ロン・カーター(b)、フランク・バトラー(ds)、5月はジョージ・コールマン(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)となります。この2つのセッションを交互に並べているのがこのアルバムです。

1曲目の "Basin Street Blues" は4月。サッチモも吹き込んでいる古い曲ですが、ここでの演奏は新しい。カデンツァから始まって、リズムがインテンポになってコーラスに入ってもなかなかメロディーを出さない。小出しにしている。「あれなんだっけ?」と思っているとフェイクされて、煙に巻かれる。中盤(5分を過ぎたあたり)でやっと丸々メロディーが出てきて納得するという仕掛け。このパターン、実はキースがスタンダーズでよくやっているパターンなのですが、元はマイルスだったんですね。フェルドマンのピアノも快適にスイングし、フランク・バトラーの「古めかしさ」と調和しています。現代若手4ビートが古い曲をやるときのお手本にもなっていそうな名演です。

2曲目の "Seven Steps to Heaven" は5月のセッション。上にも書いたように、広々とした曲想の上をマイルス、ジョージ・コールマン、ハービーがソロを取っていきますが、それを支えているトニーのドラミングがすでに凄いことにも驚かされます。45年生まれですからこの時わずか18歳!この曲、フェルドマンの作曲ということで4月のロス・セッションでも吹き込まれたのですが、ボツになり、改めてこのメンバーで吹き込んだそうです。

3曲目の "I Fall in Love to Easily" は、伝統的というかマイルスによるバラード演奏の典型のようなナンバーですが、プレスティッジ時代よりもずっと音の選択が広がっていて、やはり時代の違いを感じさせます。フェルドマンのソロもマイルスのコンセプトに合わせて新しい感じで弾いています。

4曲目 "So Near, So Far" はかなりてこずったらしく、最初4月のロス・セッションで吹き込んでも上手く行かず、5月のNYセッションで吹き込んだうちのリハーサル・テイクの方。本テイクはやはり間違った音だらけで使い物にならなかったということだそうです。確かにドラムに過重な負担を強いるアレンジですが、トニーがこれをこなしていることに驚かされます。

5曲目の "Baby, Won't You Please Come Home" は20年代からビックス・バイダーベックなどが賑々しく演奏してきた曲ですが、マイルスは最初バラードと間違うばかりにテンポを落としてヴァース(もともとあったのか、マイルスがカデンツァ風に付け加えたのか)から吹き始め、その後もマイルスがライブでよくやるようにテンポを動かしながら演奏を続けていきます。

ラスト曲の "Joshua" もフェルドマンの曲ですが、やはり5月のNYセッションでの吹き込みを採用。激しい転調と4/4から3/4へと変化するなど、トリッキーな難曲ですが、全員自然な演奏を繰り広げています。

このアルバムを丹念に聴いていけば、4月から5月へのたった1ヶ月でマイルスのやりたかったことがより明確化していく過程に気づきます。またヴィクター・フェルドマンという有能なミュージシャンが、ツアーの誘いを断ってくれたためにハービーへと繋がり、最強の第2次黄金カルテットに至ることを考えると、不思議な気持ちになるアルバムです。

Tags: Davis, Miles · Hancock, Herbie · trumpet · Williams, Tony

1 response so far ↓

  • 1 Mayra // Apr 25, 2019 at 7:49 am

    If you should be enjoying arms which can be likely to lose
    then crease them preventing enjoying these.

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