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Bill Evans: Explorations (Riverside)

May 25th, 2006 · No Comments

Explorations
ビル・エバンスの代表作は「リバーサイド4部作」、すなわち『泥の川』『螢川』『道頓堀川』・・・は宮本輝の「川」三部作で(笑)、こちらはPortrait in Jazz, Explorations, Waltz for DebbyそしてSunday at the Village Vanguardの4枚。この4枚はベースの名手スコット・ラファロとの共演が収められているためそう呼ばれるわけです。それまでのピアノトリオは、下で紹介したバド・パウエルのようにピアノが主でベースとドラムが従の位置に立っていたのですが、このエバンス~ラファロ~モチアンによってピアノ~ベース~ドラムスが正三角形を描いて対等に絡み合う独特のピアノトリオのあり方が提示されました。これを「インタープレイ」と呼びます(タイトルが『インタープレイ』というエバンスのアルバムがありますが、これは無関係です)。もちろん、単なる実験作ではなく、完成度の高い永遠のピアノトリオということができます。ラファロはこのトリオでの活動中交通事故にあって亡くなるのですが、そのたしかな腕前、イケ面風のルックス、わがままな性格といった特徴と相まって伝説のベーシストとなっていきます。私個人としては、ラファロのベースを楽しみたいならオーネット・コールマンのFree Jazzを聴いた方がよいと思っていますが、最初からこんなの聴いてもラファロ以前にアルバム全体のコンセプトで挫折してしまうでしょうから、エバンストリオがやはりお勧めです。

その「リバーサイド4部作」の中でも、とくに気に入っているのが今日取り上げるExplorationsです。4部作の中では一番地味だけれど、一曲目の「イスラエル」から「ビューティフル・ラブ」、「エルザ」を経てマイルス作曲の「ナーディス」にいたる部分が非常に優れているのでこれを紹介します。「イスラエル」から「ナーディス」まで。ここにはピアノトリオのかつて到達し得なかった経験が収められています。もっとも、LPではたしか「ナーディス」がB面1曲目だったのでこうした流れが見えづらかったような気もします。

ところでこのラファロ。イケ面風なのですが性格が悪く、エバンスを脅してはギャラを前払いさせていたそうです。天才でルックスもいいのに、その性格に難がある。私は、最近日本を出国してアイスランドに行ったチェスの天才、ボビー・フィッシャーを連想してしまうのですが。

この記事で取り上げたCD

Tags: Evans, Bill · piano

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