音楽を聴きながら、「あそこはいけないね」「ここはこうしたほうがよいね」とうるさい事おびただしい聴き方はきらいだ。せっかく時間を使って音楽聴いているのにそんなにヒハン的にならなくてもいいんじゃないかと思う。だったらもっと政治を批判せよ!と思わず立ちあがりたくなるが、立ちあがっても次にする事がないので立ちあがらないでおく。同じように、LPコレクターの中には「ああ、ここでノイズが出る」「これはノイズが多くていけないね」などとノイズに集中した聴き方をしている人もいるが、これもどうかと思う。古いLP聴いてんだからノイズぐらい出るでしょ?もっとゆったりした聴き方しなさいよ!と叫びたくなるが、叫ぶとその後よくない事が起こりそうなので静かにしておく。と、よく考えると私のほうがずっと批判的になっているのだ・・・
ヒハン的・懐疑的になったときにそれらの気持ちをふっとばす曲がある。ひとつは以前にも書いた「シャイニー・ストッキング」であるが、もうひとつは「ブルー・モンク」である。このB♭のブルースをやってもらうと、どんな場合でもヒハン的な気持ちは消えうせニヤニヤしてしまう。人前でニヤニヤしてしまうなど理性すら雲散霧消したような格好だ。
そういう曲だから、どのアルバムがいい、どのジャズマンの演奏がいいなどと挙げることじたい自己矛盾な気もするが、よく聴くのはオリジナルの『トリオ』ではなくて、上のにジャケットを挙げた『セロニアス・イン・アクション』である。これは名盤『ミステリオーソ』(写真右)と同日ライブのものであるが、ミステリオーソはジャケットにキリコの絵をあしらってもらったりしてずいぶん厚遇を受けているのに対して、こちらはポール・ベイコンのデザインとはいえ散文的なジャケットで冷遇されているような感じがし、ちょっとその辺どうなっているのよ!?と問い詰めたい気持ちになるが、いけないいけない・・・
ここでの「ブルーモンク」はもう爆発している。聴衆はざわめいているし、途中で電話が鳴ったりするが、そんなのお構いなしにグリフィンが吠え、モンクが叩く。そういえば以前に吉祥寺「メグ」でこれを聴いたとき、演奏中に鳴る公衆電話の音が店の電話の音と聞き間違うほどリアルだったのを思い出す。またメルドーを教えてくれたピアニストが、このアルバムの録音技師が用いた手法について話してくれたのだが、「ブルーモンク」中だったのでどんな話だったか忘れてしまった(笑)。
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