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Coleman Hawkins: Hawkins! Alive! (Verve)

September 5th, 2007 · 1 Comment

Jericho

『相棒』という刑事ドラマが好きで欠かさず見ていますが、先日再放送でもやっていた「セレブ殺人」というエピソードでは「モノに執着することの不幸」を描いていて印象的でした。私自身、ジャズと関わってきて一番理解できないタイプの人々が「コレクター」といわれる人々です。あまりコレクターの悪口を言うと逆ねじを食らわされそうだし、そもそも他人の趣味に容喙するのは野暮なので、「セレブ殺人」を見ていただくことにしましょう 8)

このアルバムはMGM Verve の溝あり盤で持っています。はぁ?上で言ったことは何なんだ!と言われそうですが、実は血眼になって捜し求めたわけでもなければ、大枚を叩いて買ったわけでもなく、縁あって手元に来ているだけです。簡単に言えばこのレコードを聴きたいなと思って廃盤屋さんで買ったらそういうレコードだったってことです。もっともそっちの知識はないので、たまたま遊びに来た「コレクター氏」が裁定して帰っていったのを受け売りで言っているだけなんですが。原題は Hawkins! Alive" at the Village Gate 。「ホーキンスは生きている」なんて失礼なタイトルですが、彼は生前から伝説の人だったんです。邦題『ジェリコの戦い』のほうが日本のジャズファンにとっては馴染み深いタイトルです。

コールマン・ホーキンス、あだ名はビーン。「ジャズ・テナーの父」と呼べる人です。彼がフレッチャー・ヘンダーソン楽団に在籍していた1924年、ルイ・アームストロングがこの楽団に入りその天才的なプレイを披露しました。これを聴いたホーキンスは、天啓を受けがた如く悟るところがあり、それまでのリズム的にカクカクした感じのプレイだったものが、アームストロングとの共演を経て徐々にジャズ・テナーらしいスタイルに変貌していく様は、フレッチャー・ヘンダーソンの『挫折の研究』第1集に耳を傾けると明らかになります。1934年に渡欧し、スター・ソロイストとしてジャンゴ・ラインハルトやベニー・カーターらと演奏をし、戦雲が暗くなった1939年、再びアメリカに戻って吹き込んだ "Body and Soul"(身も心も)は歴史的名演となり、広範な影響をジャズ界に及ぼしました。特にベン・ウェブスターやレオン・チュー・ベリーはホーキンス派といってよく、レスター・ヤングを除くほとんどのテナー奏者の元となったのがコールマン・ホーキンスであるわけです。ビ・バップの時代になると、このトレンドに背を向けたベテランやバップを超えて次代に影響を与えたレスター・ヤングとは逆に、このバップイディオムを積極的に吸収し、ロリンズやコルトレーンにも深い影響を与えました。

1962年8月13日と15日、ニューヨークの名門クラブ『ヴィレッジ・ゲイト』で吹き込んだライブアルバムがこれです。メンツはビーンのほか、トミフラのピアノ、メジャー・ホリーのベース(この人はアルコで弾きながらスキャットを歌う奏法で有名です)、ドラムはエド・ロックです。A面冒頭は "All the Things You Are"。この曲は頻繁に転調する曲でコード感がもともと強いためにバップで好んで取り上げられます。パーカーが全編即興演奏で挑んだ「バード・オブ・パラダイス」はこの曲です。ビーンの場合はそんなことに囚われず、とにかくブフォーン、ブフォーンとテナーの音色を全開して吹いているところが魅力です。トミフラのソロはピシッと決まって心地よい。2曲目 "Joshua Fit the Battle of Jericho" は「ジェリコの戦い」という邦題のほうが有名な黒人霊歌です。この曲、無伴奏でビーンが一発目を吹いた後、左のスピーカーから飛び出してくるメジャー・ホリーのベースがとにかく太くて力があって凄い。ホーキンスのテナーも、「何で金属製のサックスが木管楽器なんだ?」という疑問を一発で解消してくれるように、リードの「木の音」がはっきり分かる音色でサックス好きにはたまりません。トミフラのピアノはちょっとオフった感じの録音ですが、エモーショナルなソロで思わず耳を傾けてしまいます。またホーキンスに合わせたのでしょうか、アール・ハインズのようなソロです。メジャー・ホリーの典型的なソロと続き、ビーンが自由なソロを取りつつテーマになだれ込んでいきます。

B面は1曲目が "Mack the Knife"。トミフラの可憐なイントロに続いて、ぶっきらぼうなテナーが出て来ます。ところでこの曲は、つまり『サキコロ』の「モリタート(マック・ザ・ナイフ)」。どちらにも参加しているトミフラはどうしているでしょう?さすが!「モリタート」でのロリンズのフレーズを後半で引用しまくっています。ベースのソロを受けて後テーマに入ったビーンまで「ホーキンス風ロリンズ」で吹いたりしています。この辺の「ソースは隠さないどころか、積極的にパロディーにする」というジャズ的精神は、普段ジタジタと論文なんぞに取り組んで「影響とオリジナルの境」で精神を湿らせている人間にとっては、もう完全な癒し系音楽です。私のことなんですけれどね。

最後はホーキンスの典型的なバラード吹奏で演じられる、"Talk of the Town"。邦題は「町の噂」。縦方向のコードトーンを並べて吹くホーキンス・バラードは上でも触れた「身も心も」で顕著ですが、ここでも、老いたりとはいえその特色は健在です。

近代ホーキンスを聴くならこのレコードがいいかと思います。しかし伝説的「身も心も」はやはり多くの人に聴いて欲しいなと思います。

Tags: Flanagan, Tommy · Hawkins, Coleman · tenor sax

1 response so far ↓

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