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Bud Powell: Jazz Giant (Verve)

May 25th, 2006 · 1 Comment

Jazz Giant
私がちょうどジャズにはまりはじめた頃、ポリドールは "Verve不滅のシリーズ"と銘打ってVerveのアルバムを固め打ちで再発してきました。それもとくに推薦する有名どころは1800円レベル、もう少しマニア度が高いアルバムでも2300円だったように記憶しています。しかし、この500円という差が大きかった。ベイシーで言えばBasie in Londonは1800円なのにApril in Parisは2300円。『パリ』が欲しいと思っても、やはり『ロンドン』を優先することになるわけです。

バド・パウエルの場合Genius of Bud Powellが1800円、今回紹介するJazz Giantは2300円してました。当然のように『ジニアス』の方を買ったわけですが、ピアノソロが多かったりなんとなく理解しがたい演奏もあってピンと来ないんですね。『ジャイアンツ』の方を聴いてみたいと思っていたところ高3の時新任で赴任してきた高校教師が所持していたので、彼のアパートに押し掛けて聴かせてもらいました。その場で「くれ!」と頼み込んだものの当然ダメで、仕方なしに借りてきてテープにダビングしてずっと聴いていたものです。そしてCD時代になってCDラジカセを買ってはじめて購入したのも『ジャイアンツ』でした。いや、『ジャイアンツ』がCD化されたのを見かけてCD移行を決意したというのが正確な言い方です。それほど私にとっては印象深かった一枚です。

まず、冒頭の"Tempus Fugit"。正直に言ってこれが理解できるのには時間がかかりました。ずっと聴き続けてきたある日、突如天啓のように理解できたというのであればかっこいいのですが、それ以前に「なんとなく勘で分かっていたもの」がパーカーの"Ko-ko"を聴いて理解できた後、これを聴いてみたら「やっぱりなー」という感じで分かってきたので、ずいぶんゆるい感じで理解したわけです。最初に聴いて印象深かったのはむしろ2曲目の"Celia"。クラシックのように典雅で、それでもジャズの活力に満ちあふれたピアノを聴いたとき「やられたー」と思いました。3曲目の "Cherokee"は以前も取り上げましたが、パーカーの"Ko ko"と違って原曲のメロディーも出てくるしずっと分かりやすいものです。もちろんバド特有の異常なハイテンションとメランコリックな気分もよく出ています。メランコリックといえば、続く4曲目の"I'll Keep Loving You"でしょう。ソロピアノで演奏されるこのバラッドは「キレイな音」だけではないバドのバラッド解釈の典型です。6曲目の「神の子」は名盤Stitt, Powell & JJでも有名で、まぁエンジン全開ですね。
特筆すべきは7曲目の"So Sorry Please"で、このアルバムの中でも"Celia"とならんで一番好きな演奏。どちらもミディアム・テンポなので、私はそれぐらいのテンポが一番好きなんじゃないかと思います。それにしてもアドリブに入ってからのピアノのすばらしさ。フレーズがピシリピシリと決まり、後のフレーズが前のフレーズを凌駕して興奮が増進してゆきます。バリー・ハリスやトミー・フラナガンを始めとした「パウエル派」のピアニスト達は、こう云うアドリブを目指していたのではないだろうか?

B面(CDでいうと後半)は有名なスタンダードで構成されていて、録音時期やベーシスト(A面はレイ・ブラウン、B面はカーリー・ラッセル)が違いますが、どちらもドラムはマックス・ローチだし、素晴らしさに変わりはありません。とりわけバラッド好きにはたまらないでしょう。ここでも見せるメランコリックなバラッド解釈はアル・ヘイグに引き継がれています。

バド・パウエルファンやピアノファン、ジャズファンのみならず、音楽ファンなら必携の一枚だと思います。

この記事で取り上げたCD

Tags: piano · Powell, Bud · Roach, Max

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